登山で着てはいけない色とは?危険な色と避けたいその理由を解説

twall (124) 登山の知識あれこれ

登山における服装は機能性防寒性だけでなく、「色の選び方」も重要な要素のひとつです。実は、選んだ色によって虫や蜂に刺されるリスクが増したり、遭難時に発見されにくくなるなど、思わぬ危険が潜んでいます。

特に黒や濃紺といった濃い色は蜂を刺激しやすく、夏場の熱中症リスクも高まります。また、おしゃれなアースカラーも、自然に溶け込んでしまい視認性が下がるため注意が必要です。
この記事では、登山時に避けるべき色や、虫・蜂対策季節ごとのおすすめカラーまで詳しく解説します。

避けたほうがよい色

登山における服装選びは、天候や気温だけでなく「色」にも注意を払う必要があります。なぜなら、選ぶ色によっては虫を引き寄せたり、万が一の遭難時に発見されにくくなったりするからです。

中でも避けた方がよい色には、明確な理由と科学的根拠があるため、事前にしっかり理解しておきましょう。

注意! 登山時に「避けた方がよい色」は、自然の中で目立たず、また害虫や蜂などを誘引してしまうリスクがあります。

黒・濃紺は蜂が寄りやすい

山中でスズメバチなどの害虫に刺される事故は少なくありません。特に黒や濃紺の服装は避けるべきとされています。なぜなら、蜂は黒を「天敵(熊)」と認識する習性があり、攻撃的になりやすいからです。

  • 黒:最も危険。蜂にとっては威嚇対象。
  • 濃紺:夜間は目立ちにくいが、昼間は黒と同等に蜂を刺激する。
  • 汗やにおいも加わるとさらに危険。

特に夏から秋にかけては蜂の活動が活発になるため、濃い色の服は極力避けるべきです。登山では明るめの色を選び、蜂からの攻撃リスクを軽減しましょう。

アースカラーは遭難で見つけにくい

カーキやブラウンなどの「アースカラー」は登山ファッションで人気がありますが、実際には遭難時に極めて見つけにくい色です。これらの色は森や土、岩の色と完全に同化してしまい、上空からの視認性が大きく下がります。

自然との同化度 発見されやすさ
カーキ 非常に高い 非常に低い
ブラウン 高い 低い
グリーン 中〜高 低い

特に単独登山や積雪期以外の登山では、アースカラー一色でコーディネートするのは危険です。

黄色・オレンジは虫が集まりやすい

黄色やオレンジは一見、安全色のように思われがちですが、実は多くの虫を引き寄せる特性があります。特に「照明に集まる虫」と同じ波長領域の可視光を放つ色として、蛾やブヨが集まりやすくなります。

さらに、汗をかいた状態で黄色やオレンジの衣類を着用していると、虫がより一層集まる傾向があります。刺されるリスクを避けるためにも、明るくても虫の好まない色を選ぶ工夫が必要です。

総括:「登山 着ては いけない 色」としては、黒・アースカラー・明るすぎる黄色やオレンジも注意が必要です。次章では逆に、虫や蜂対策に適した色について解説します。

虫・蜂対策の色選び

自然環境においては、服装の色によって虫や蜂の寄りやすさが大きく変わります。とくに夏山登山では、汗と体温の上昇により虫が近づきやすい状況が頻発します。ここでは、虫や蜂から身を守るために有効な色の選び方とその根拠を解説します。

ポイント:
虫に刺されにくい服の色を選ぶことは、虫よけスプレーと同じくらい大切な「パッシブな虫対策」です。

白や淡色が刺されにくい

蜂や虫は黒っぽい色に反応して攻撃してくる傾向がある一方、白やパステルカラーなどの明るい色にはほとんど反応しません。とくに蜂は、白や明るいグレーを背景と認識しやすく、敵と見なすことが少なくなります。

以下は蜂の反応度を示した簡単なカラー別リストです:

  • 白:最も安全とされる色。蜂は攻撃対象と認識しにくい。
  • 水色・ベージュ:白に近く、リスクが低い。
  • 明るいグレー:中立的で安全性が高い。

虫や蜂対策を重視するなら、白や淡色のウェアは登山において非常に有効です。

黒や濃色が蜂を刺激する理由

蜂は天敵である「熊」の毛色=黒を警戒対象と見なし、刺激されやすくなります。実際、熊が黒に近い色をしていることから、黒い帽子やリュックに蜂が集中して攻撃する事例も報告されています。

濃い色を身に着けていると、自ら蜂に「私は敵です」とサインを出しているのと同じ状況を作ってしまうのです。

紫外線反射と虫の寄りやすさ

虫の多くは紫外線(UV)に敏感です。黄色や青、紫などの色はUVの反射率が高く、結果的に虫が集まりやすくなります。逆に、白や淡い色はUV反射が少ないため、虫を寄せ付けにくいとされています。

また、UVカット加工のある衣類を選ぶことで、虫除けと紫外線対策を同時に実現することも可能です。

遭難・発見されやすい色

登山において最も恐れられているのが「遭難」です。どれだけ準備をしていても、天候や体調、ルートミスなどで予期せぬ事態が発生することはあります。その際、いかに早く発見されるかは、服の色がカギを握るのです。ここでは発見されやすい色とその根拠を紹介します。

遭難時の「発見されやすさ」は、色の選び方次第。自然と対照的な色が命を守る。

エマージェンシーカラー(赤・黄・オレンジ)

救助時に視認性が高いとされる色には明確な理由があります。赤・黄色・オレンジといったエマージェンシーカラーは、森林や岩場、雪原といった自然環境の中で非常に目立つ色です。

  • 赤:特に緊急性を象徴する色。血液色でもあり注意喚起として認識されやすい。
  • 黄色:視認性が高く、遠くからも識別されやすい。
  • オレンジ:空中・地上どちらからも目立つ色で、レスキュー隊が好む色。

青系は自然にない色で視認性高

意外に思われるかもしれませんが、青やターコイズなどの色も自然界ではあまり存在しない色のため、遭難時に目立つ色として有効です。

とくに夏山や紅葉シーズンでは緑や赤系が背景に多くなるため、青色の上着やリュックを選ぶと高い視認性が確保されます。

季節別で背景に馴染まない色

季節によって背景の色は変化します。これにより「目立つ色」も変わってきます。以下は季節と推奨カラーの対応表です:

季節 背景色 目立つ服の色
春(新緑) 緑・黄緑 赤・ピンク・オレンジ
秋(紅葉) 赤・黄・茶 青・紫・白
冬(雪山) 赤・オレンジ・濃青

自然の中で目立つ服装を選ぶことは、もしもの時の命綱にもなり得ます。次章では、色ごとのリスクとメリットについてさらに掘り下げていきます。

色によるリスクとメリット

登山における服装の色には、それぞれにリスクとメリットが共存しています。見た目の好みやトレンドだけで選ぶと、虫を引き寄せたり、熱を吸収して体調に影響を与えたりといった問題が生じることも。ここでは主要な色ごとの特徴と、それぞれの長所・短所について詳しく解説します。

💡チェックポイント
おしゃれ=安全ではない! 機能性とリスクの両面から「色」を再評価しよう。

黒の服は熱を吸収しやすい

黒い服は光を吸収しやすく、直射日光を浴びるとすぐに熱を溜め込みます。そのため夏場の登山では、体温上昇による熱中症リスクが高まります。また、黒は蜂や虫にとっても警戒色のため、刺されるリスクも上昇します。

  • 黒は光の吸収率が高く、熱中症リスクが増加。
  • 虫や蜂が好む色でもあり、二重の危険性。
  • 寒冷時は保温になることもあるが登山向きではない。

アースカラーはおしゃれだが危険

アースカラー(カーキ、ブラウン、モスグリーンなど)は登山ファッションで根強い人気があります。しかし、視認性の面では大きな弱点があります。特に遭難や滑落など緊急時に救助が必要な場面では、これらの色は背景に溶け込んでしまい、発見が遅れる原因となるのです。

ファッション性に優れる一方で、次のようなリスクを伴います:

  1. ヘリやドローンから視認しにくい。
  2. 周囲の登山者から見つけにくい。
  3. 写真映えはするが安全性には劣る。

薄い色は虫寄せと熱対策

白やベージュなどの淡い色は、紫外線や可視光線の反射率が高く、熱がこもりにくいため夏場の登山に適しています。さらに、虫の寄りにくい色としても知られています。一方で、黄色やライトグリーンなどは虫を引き寄せる作用があるため、淡色の中でも選別が必要です。

色選びの要点まとめ:

メリット リスク
引き締め効果、汚れが目立たない 熱を吸収・蜂を誘引
アースカラー 自然との調和、ファッショナブル 発見されにくい
白・淡色 熱がこもりにくく虫に強い 汚れが目立ちやすい

季節ごとの色の選び方

登山では季節によって背景の自然環境が大きく変わるため、視認性や虫対策、体温管理などの観点から「色の適切な選択」が求められます。季節ごとにどんな色が安全か、どのような色が避けるべきかを知っておくことで、より快適かつ安全な登山が実現します。

四季で変えるべきは服の厚さだけでなく色も。
背景と被らず、視認性の高い色が季節ごとに異なります。

新緑期は赤・オレンジ系

春から初夏にかけては、森林や高原が新緑に包まれます。この時期に最も目立たない色がグリーン系、つまり「背景に溶け込む色」です。そのため、逆に赤やオレンジといった暖色系のウェアが視認性を高めてくれます。

さらに春はハチやアブなどが増える時期でもあるため、黒を避け、かつ虫が嫌がる明るめのトーンを意識するとベストです。

紅葉期は青・紫など対照色

秋は紅葉により山が赤や黄に染まります。このタイミングでは、赤系の服装は背景と同化しやすくなります。そのため、青や紫などの寒色系を選ぶことでコントラストがはっきりし、遭難時にも目立ちやすくなります。

  • 紅葉背景:赤・橙・茶系が主
  • 推奨色:ブルー・バイオレット・ターコイズ

また秋は朝晩の寒暖差が大きいため、防寒と色の両立が求められます。アウターは明るい青系、インナーは虫を寄せ付けない白系など組み合わせを工夫すると良いでしょう。

雪山では白以外の明色が安全

雪山登山では、一面が真っ白な世界。そんな中で白い服を着ていると、雪と同化してしまい極めて危険です。救助隊からの視認性が著しく低下するほか、仲間同士でも見失いやすくなります。

おすすめは赤、オレンジ、ネイビーなどの「濃く明るい色」。白以外で、背景とコントラストがつく色を選びましょう。


目立つ色 vs 自然になじむ色

登山ウェアを選ぶ際に多くの人が迷うのが、「目立つ色を着るか、自然に馴染む色を選ぶか」という点です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、どのようにバランスを取ればよいかを考察します。

👣自然との一体感か、安全性か──その選択に迷ったら、安全を優先しましょう。

全身アースカラーは危険

上下ともにカーキやブラウンで統一されたコーディネートは一見おしゃれに見えますが、実はとても危険です。遭難時、レスキュー隊が空から見たときに、完全に景色に溶け込んでしまいます。

「落ち着いた色=登山にふさわしい」という思い込みはリスクです。実際には「目立つこと」が命を守ることにつながります。

ワンポイントに明るい色

全身が目立ちすぎるのは抵抗があるという方には、「ワンポイントカラー戦略」がおすすめです。たとえば、リュックの雨蓋、ハット、腕章、シューズなどに明るい色を取り入れることで、安全性を確保しつつファッションも楽しめます。

  • ベース:アースカラー
  • アクセント:赤・橙・明るい青など
  • おすすめ部位:帽子・ザック・靴紐・手袋

背景とのコントラストが鍵

結局のところ、重要なのは「その日の山の背景に対してコントラストがあるかどうか」です。背景が緑なら赤、背景が紅葉なら青、背景が雪なら黒以外の暖色を取り入れる。このように「風景と反対の色を選ぶ」ことが最大のポイントです。

まとめ: 登山では機能性・安全性を第一に考え、ファッション性はその中でバランスを取る形が理想です。特に「登山 着ては いけない 色」には理由があり、それを知っているかどうかが安全登山の第一歩となります。

まとめ

登山においては、服装の色が命を左右することもあります。黒やアースカラーは蜂を引き寄せたり、遭難時の発見を遅らせる要因となりうるため、慎重に選ぶことが大切です。

明るい色や季節の背景と対照的な色を選ぶことで、虫除け効果や視認性を高めることができます。特に、夏は白や淡色系、紅葉期には青や紫、雪山では白以外の明るい色を選ぶのが安全です。ファッション性と安全性を両立させるためにも、登山ウェアの色選びには最新の知見を取り入れ、万全の準備をして山に挑みましょう。